調剤薬局にワインやネイルケア……。東京・築地の薬局 エスエルファーマシーには、一見、薬局に似つかわしくない商材が幾つかラインアップされています。その狙いは何か、店づくりのコンセプトを同薬局の取締役ゼネラルマネージャーで薬剤師の工藤美也子さんと管理栄養士の宗田雪美さん、販売部の安彦彩菜さんに伺いました。
今回取材を受けてくださった、宗田さん(左)と安彦さん(右)。
―医薬品のほか、取扱商品は食品、化粧品など多岐に及びます。
工藤 調剤薬局としての「ケミカル」な部分と、自然素材の食品や化粧品などの「ナチュラル」な側面を融合させることが、店づくりのコンセプトとなっています。
スキンケア商品一つにおいても、こだわりを持って商品を選定しています。
処方箋は近隣の聖路加国際病院を中心に、さまざまな医療機関から応需している関係で、備蓄医薬品は2,500種類以上に上ります。ただ、地域の人々の健やかな生活は、医薬品だけではサポートできません。「美と健康」をテーマに、医薬品同様、「安全・安心」な食品や化粧品などを厳選して、内側からの美は食品、外側からの美は化粧品という考え方で店内をゾーニングしています。
種類豊富なOTC医薬品
売っている商品について、薬剤師さんがしっかりと説明してくれます。
―ワインの導入もその一環でしょうか?
工藤 赤ワインの魅力や酸化防止剤である亜硫酸を極力減らしたヴァンナチュールと呼ばれる自然派ワインなど安全安心なワインをご提案しています。
商品選定は、契約を結ぶ日本ソムリエ協会の認定ソムリエとワインエキスパートの私が相談して仕入れます。気軽に飲めるデイリーなワインから記念日の為のスペシャルなワインまで、処方箋を持たないお客様の来店にもつながります。販売時には、食品ゾーン担当の管理栄養士、宗田がご相談に応じています。
日本ソムリエ協会認定の加藤稔シニアソムリエと一緒にセレクションしたワイン。
ドリンクも充実していて、選ぶのが楽しくなりますね。
―食品の選定で留意されていることはありますか?
宗田 なるべく添加物を含まない自然に近いもの、また、血糖値が気になる方や食事制限のある方が選びやすい食品、小さなお子さまでも安心して食することができるおやつなど、こだわりをもった商品を厳選し仕入れています。
季節に合わせて商品やディスプレイも変えています。
―化粧品担当の安彦さんのこだわりは何でしょうか?
安彦 やはり安心・安全であることが何よりも優先します。ネイルケアアイテムはケミカルな原料のものが大半ですが、90%以上がナチュラル起源の商材など、ワンランク上の自然派ネイルケアをご提案しています。また例えば、抗がん剤などの治療で爪が黒ずんだり、指先が気になる方のネイルケアの際にも安心してご紹介しています。
―今後、食品、化粧品分野ではどのような将来展望をおもちでしょうか?
宗田 スーパーフードのような、今話題になっている食品などを積極的にSNSで紹介していきたいと思っています。また、定期的に開催している栄養相談会は、今後とも継続していきたいですね。それがお薬の説明やコスメティックの相談につながれば、と思っています。店頭ではお客さまから、OTC医薬品についてのご相談を受けることもあります。そのため、一般用医薬品の「登録販売者」の資格を取得し、薬剤師の方との連携をさらに深めていきたいと考えています。
安彦 私もインスタのようなSNSをもっとたくさんの方にみていただけるように活用したいと思っています。スキンケア商品の販売にも専門知識が不可欠なので、私は現在、文部科学省後援の日本化粧品検定2級の資格を取得していますが、今後は1級を目指します。正しい知識を身に付け、的確なアドバイスができるようになれば、と思っています。
―本日はどうもありがとうございました。
薬局 エスエルファーマシーは、1994年6月、医・食・住など多彩な機能を併せ持つ聖路加ガーデンのオープンと同時に、施設内に開設されました。「We are at your service(あなたの意のままに)」という奉仕の精神で、医薬品にとらわれない健康生活提案を地域の人々に積極的に発信しています。
Activeプラス編集部