第三類医薬品を中心とした市販薬を取り扱うコンビニエンスストアも増えてきました。オフィスビルの中にある浜松町スマイル薬局では、処方箋患者に限らずコンビニエンスストアとは異なる品揃えでビジネスパーソンに寄り添った医薬品の販売コーナーを設置しています。
同薬局の管理薬剤師・山崎亜主美さん(以下、敬称略)に、店づくりのポイントや販売商品の選定方法などについてお伺いしました。
浜松町スマイル薬局にご勤務されている皆さん。管理薬剤師の山崎 亜主美さん(左)、エリア長の冨田 泰弘さん(中央)、医療事務主任の大沼 明日美さん(右)。
―OTCの販売ブースに力を入れるようになったきっかけは何でしょうか?
山崎 私が今の薬局に入職したときから陳列数を増やしたいという思いがありました。陳列数を増やすにあたり、1番意識した点は、同じビルの中にコンビニが2軒あるという点です。コンビニエンスストアと同じものを販売するのではなく、差別化を図るために、薬剤師がいるからこそ販売できる1、2、3類の商品を充実させました。
あえて有名な商品を多く取り揃えることで、手に取っていただきやすくなるよう工夫しています。
―取扱商品の見直しをしてからOTCの売り上げが倍になったそうですね
山崎 OTCの売り上げが変化したターニングポイントは、ロキソニンSシリーズを全種類取り扱うようになったことです。私は以前、OTC専門のEC通販を行うベンチャー企業に勤務していたことがあります。その経験から、ロキソニンSシリーズ全種類に異なるメリットがあることを知識として知っていました。各商品のメリットを説明しながらロキソニンSシリーズ全種類の販売を始めたところ、OTC全体の総額売り上げが前月平均の2倍になりました。
同じビル内で働く会社員の方が多い為、日々の疲労からくる症状に合わせ、患者さんにあった薬をお伝えしています。
―販売商品を選ぶときのポイントはありますか?
山崎 商品選定をするときに一番重視しているのが、テレビや広告で一般的に知られている商品を選ぶということです。店内には、CMでよく見かける広告のポスターを目立つようにディスプレイしています。時間がない患者さんでも、知っている商品があればパッと買いやすいですよね。
山崎 OTCの品目数は、衛生用品やサニタリーを含めて約90~100品目の取り扱いがあります。医薬品に関してはオールシーズンで必要な疾患と、シーズン疾患に分けて入荷しています。新しい商品を取り扱うときは、ドラッグストアでリサーチした情報をもとに、一緒に働いている事務さんに、一般消費者としての意見を聞いてから入荷します。薬剤師がOTCを見る視点とは異なった視点から意見を伝えてくれるので、商品選定でとても参考にしています。薬剤師、一般消費者、2者の視点から商品選定ができる点が当店の強みです。
商品は、見つけやすいように視界に入りやすい目立つディスプレイを置いています。
―働く人に寄り添う「大人の保健室」として取り組んでいることがあれば教えてください
山崎 薬局に薬を買いに来るビジネスパーソンは、いま気になっている症状をどうにかしたいという思いが強いので、即効性がある商品を揃えて対応できるようにしています。ただし、毎月薬を買いに来る患者さんには使用頻度を確認したり、医療機関への受診勧奨目安の確認をしたりしています。薬の知識の押し付けではなく、「本当にあなたを心配しているから病院に行ってみてね」と、保健室の先生のような気持ちで、患者さんに情報をお伝えしています。また、ロキソニンシリーズや解熱鎮痛剤を買ってくれた人には薬剤乱用頭痛案内の紙を配るなど、短い時間で大事なことを端的に伝える工夫もしています。
誰が見てもすぐに違いが分かるよう表にまとめています。ご購入時の相談や服薬指導も状況に合わせて対応しています。
Activeプラス編集部